抄録
症例は43歳男性.1998年12月より熱発,全身倦怠感が続き,1999年2月には神経症状,意識障害,全身衰弱を認めたため当院入院となった.検査の結果,AIDSと診断された.経口摂不能のため経鼻チューブより抗ウイルス剤を投与し,栄養補給は中心静脈栄養で行った.しかし,全身状態は徐々に悪化し経過も遷延したため,栄養および投薬ルート確保目的で同年5月21日にPEGを施行した.術後翌日より抗ウイルス剤を,4日目より経腸栄養剤を開始した。約2年間の経過観察中,PEGによる合併症は早期,晩期共に認めなかった.栄養状態と免疫力は改善し,全身状態が安定したことから,PEGによる経腸栄養はAIDS患者に対しても安全かつ有用であると考えられた.