症例は51歳,男性.嚥下困難,咳嗽と体重減少を主訴に当科を受診,平成2年に膵体尾部癌に対し他院で,膵体尾部切除,左腎摘,左横隔膜部分切除などを施行された既往がある.平成12年1月,精査加療目的に当院入院した.腹部正中切開創なちびに左肋骨弓下切開創瘢痕を認め,左側腹部に瘻孔を認めた.内視鏡検査にて,門歯より約45cmの空腸に高度狭窄があり内視鏡は通過せず,同部位に複数の瘻孔を認めた.造影検査にて空腸気管支瘻,空腸皮膚瘻と診断した.狭窄部位に対して内視鏡的拡張術をおこない,covered self-expandable metallic stentを留置したところ.経口摂取は良好となり,咳嗽消失,皮膚瘻閉鎖を認め退院となった.術後約1年を経過し,現在のところ狭窄症状の再発はない.
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