抄録
症例は46歳女性.検診にて便潜血陽性を指摘され受診.大腸内視鏡検査にて盲腸および下部直腸に直径5mmの粘膜下腫瘍様病変を認め,内視鏡的粘膜切除術にて組織学的にmucosa-associated lymphoid tissue (MALT)リンパ腫と診断した.これまでの大腸MALTリンパ腫の報告より,現在は再発予防に重点を置いた外科的切除が主流である.しかし,本症例は直径5mmの小病変であったことから,内視鏡的治療により治癒しえたものと考えられる.今後長期的な治療成績の評価により,病態に応じた適切な治療法の確立が重要である.