抄録
症例は88歳,男性.黄疸を主訴に受診.内視鏡的逆行性胆管造影検査でVater乳頭開口部に充満した粘液と胆管の拡張,胆管内に充満した粘液像を認めた.経皮経肝胆道鏡にて左右肝管の起始部および総胆管の上部・下部に乳頭状の発赤した粘膜を認め生検ではadenocarcinomaを疑う異型上皮を認めた.粘液産生胆管癌による閉塞性黄疸と診断し,腫瘍の粘液産生を抑制する目的で胆道鏡下にマイクロ波による腫瘍凝固を試みた.治療後,肝硬変で死亡するまでの約3カ月間胆管炎症状は来さなかった.ハイリスク患者に対して,本治療法は有用であると考えられた.