日本消化器内視鏡学会雑誌
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早期胃癌の粘膜切除術における適応拡大の妥当性
―臨床例での検討―
三島 利之長南 明道石橋 潤一日下 利広三宅 直人有泉 健安藤 正夫望月 福治
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2003 年 45 巻 11 号 p. 2188-2196

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抄録

当施設でEMRがなされた早期胃癌251病巣を,これまでの適応にあたるグループA(139病巣),拡大適応にあたるグループB(112病巣),に分けて検討した.グループBでは切除回数の増加,絶対完全切除率の低下がみられた.偶発症に関しては,出血率はやや増加したが,有意差はなかった.穿孔例はみられなかった.遺残再発はグループAの3,2%,グループBの6.5%にみられたが有意差はなかった.治療時間はグループAで平均30.1分,グループBで平均47.0分と,拡大適応まで含めても平均50分以内に治療を終了していた.EMRの適応拡大にあたっては,正確な粘膜内範囲診断とマーキング,全マークを含めた切除,厳密な病理組織学的検索,完全切除と判定できない病巣に対する密な経過観察といった一連の流れが確実に行われることが重要である.この条件下に本拡大適応は臨床的に妥当であると考えられた.

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