2004 年 46 巻 4 号 p. 938-942
症例は87歳,女性.糖尿病,慢性腎不全で当院に通院中であったが,腎不全の憎悪があり,血液透析導入のため人院となった.入院後大量の血1便があり,ショックとなった。輸血と輸液によりバイタル・サインを安定させ,大腸内視鏡検査を行ったが大腸内に血便が残存し出血部位を確定できなかった.4日後再び血便があったため,輸血,輸液を行い,大腸洗浄液による前処置を行い大腸内視鏡検査を行った.直腸RbにDieulafoy潰瘍からの出血を認めた.露出血管を中心に潰瘍を縫縮するようにクリッピングを行い止血に成功した.再出血は認めなかった.6カ月後の大腸内視鏡検査では病変は白色瘢痕化していた.1回のクリッピングで止血に成功し,長期的にも再出血を認めていない直腸Dieulafoy潰瘍出血の1例を経験した.