抄録
「背景・目的」虚血性大腸炎急性期の内視鏡診断は確立したものはなく,新しい分類を試みた.「方法」発症から3日以内に内視鏡観察できた81例を対象に内視鏡像とそれに対応する病理組織像を検討した.「結果」内視鏡像を血管拡張,うろこ模様,偽膜様所見,チアノーゼ所見の4つに分けて検討したが,うろこ模様が最も高率にみられた.また,それぞれに対応する生検病理組織像を対比すると,この順に病理学的に虚血の程度は重篤となり,この内視鏡分類の妥当性が証明された.また,拡大観察することにより,粘膜内出.血による小区の赤みと区画する白い無名溝によりうろこ模様が形成されていることが判明した.「結論」主病変が縦走性の偽膜様所見とその周囲のうろこ模様からなり,その周辺にうろこ模様からなる横走性病変あるいは斑状病変などの小病変がみられるのが虚血性大腸炎急性期の最も典型的な内視鏡像と考えられた.