2005 年 47 巻 1 号 p. 3-14
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)は進行が緩除で予後の良い膵腫瘍とされるが,時に急速に進行し不幸な転帰をたどることもある.IPMTの良悪性鑑別にはさまざまな画像診断による検討が行われてきたが,確実な診断は容易ではない.内視鏡を用いた診断としてはERCP,膵液細胞診,超音波内視鏡(EUS),膵管腔内超音波(IDUS),経口膵管内視鏡(POPS)が挙げられる.ERCPは特徴的な乳頭所見が得られればIPMTの診断は容易であるが,良悪性の鑑別は困難である.膵液細胞診は判定に苦慮することもあるが,確実な診断が得られる方法として有用である.EUSは内視鏡検査の中では侵襲も少なく,スクリーニングにも用いられる.IDUSは膵管内のみならず膵管壁,膵実質の評価が可能である.POPSは膵管内隆起性病変の詳細な形態診断が行える.これらの内視鏡診断を駆使することで,IPMTにおけるより確実な治療方針の決定を行うことが可能となる.