抄録
「目的」大腸内視鏡検査に伴う疼痛の軽減を目指して,S状結腸までの体性神経をブロックできる仙骨硬膜外麻酔の併用による有効性と安全を検討した.「方法」痔核及び痔瘻術後患者192人,腹部手術歴のない患者120人と腹部手術歴の有る患者72人を対象とし,無作為に仙骨硬膜外麻酔なし(コントロール群),仙骨硬膜外麻酔に1%塩酸メビバカイン10ml使用(1%10ml群),0.5%塩酸メビバカイン15ml使用(0.5%15ml群)に分けて,大腸内視鏡検査に伴う疼痛を評価した.「結果」平均年齢,男女比,盲腸到達時間,検査時間は各群間に有意差は認められなかった.麻酔範囲はS5領域より約3分節得られた.Painscoreは仙骨硬膜外麻酔併用群の方が有意に低値を示した.合併症は検査中及び検査後には呼吸循環に関する重大なものは認められなかった.「結論」仙骨硬膜外麻酔は大腸内視鏡検査に伴う疼痛の軽減に有効であり,かつ安全であった.