日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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膵石症に対する内視鏡治療の現況と問題点
乾 和郎
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2006 年 48 巻 2 号 p. 171-175

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抄録

膵石症と膵管狭窄に対する内視鏡治療の有用性を述べた.膵石に対する内視鏡治療のESWLとの併用も含めた総合的な結石完全消失率は76~88%と高い消失率が得られ,症状緩和率も93~100%と高いことが報告されている.しかしながら,膵石による内視鏡治療が長期的にみた膵機能改善に有効か否かは不明である.また,結石再発が高いこととが問題であり,これには膵管狭窄が影響している可能性が示唆されている.膵管stentingは膵管狭窄からくる疼痛に対して,改善率が74~94%とその有用性が報告されている.また,ESWLによる排石促進の補助として,膵石再発の予防法として期待されているが,再発予防に関しては必ずしもいい結果が出ていない.また,挿入したstentの閉塞が必発であり,材質,形状,太さ,留置期間などが問題となっている.問題解決のためには,多くの症例を蓄積することによって今後検討していかなければならない.

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