抄録
乳頭部腫瘍には,過形成,腺腫,腺腫内癌,癌などが含まれる.手術は解剖学的特性から侵襲が大きく,術前の診断が重要である.腺腫や早期癌などの症例に対して完全生検の目的で内視鏡的乳頭切除術が施行されているが,切除法は術者によって異なる.また切除後の偶発症である膵炎および胆管炎は大きな問題である.著者らは処置用十二指腸スコープ,スパイラルスネア,切開波を用いて十二指腸腫瘍4例(早期癌2例,腺腫2例)を切除した.術直後に5Fr膵管ステントおよび7Fr胆管ステントを留置した症例では,術後膵炎および胆管炎は認めなかった.以上の方法で安全に内視鏡的乳頭切除術を施行できると考えられた.