日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道静脈瘤の地固め療法
古川 浩一滝澤 一休池田 晴夫岩本 靖彦相場 恒男米山 靖和栗 暢生五十嵐 健太郎月岡 恵
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2006 年 48 巻 6 号 p. 1199-1209

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抄録

本邦における待期・予防的な食道静脈瘤の内視鏡治療は内視鏡的硬化療法(EIS)と内視鏡食道静脈瘤結紮術(EVL)を中心に行われている.特にEVLは安全で簡便であることから急速に普及し,国内外問わず待期・予防の食道静脈瘤治療においては主役といえる.それに伴い,EVLの高い再発率,特に本邦ではredcolor sign(RC)陽性による再発が問題視され,様々な地固め療法が試みられてきた.中でもアルゴンプラズマ凝固療法(APC)は凝固特性からEVL後のRC再発予防に最適な地固め療法の一つにあげられる.しかし,EVL単独治療であっても反復施行により地固め療法類似の効果が期待できる.今後は地固め療法の過不足ない適応を考える上でRCの扱いや現在の医療環境にあった安全性,QOL,コストなどの再評価が必要と考えられる.さらに,薬物療法導入も視野に入れた門脈圧亢進症の部分症としての待期・予防的な食道静脈瘤内視鏡治療の標準化と血行動態からみた個別化が切望されている.

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