2006 年 48 巻 6 号 p. 1252-1258
内視鏡的バルーン拡張術(バルーン拡張術)の適応となる大腸疾患として,大腸癌術後の吻合部狭窄やCrohn病などの慢性炎症性腸疾患に合併する狭窄があげられる.バルーン拡張術には,内視鏡の鉗子孔から挿入可能なTTS(though-the-scope)バルーンを用いる場合が多く,最近はガイドワイヤーが内蔵されたバルーンも使用できる.大腸狭窄に対してバルーン拡張術を行なう際には,まず適応となる狭窄を厳密に選択することが重要である.適応外の狭窄に対しては,外科手術など他の治療法を考慮する.バルーン拡張術を行なう際のコツとしては,無理な拡張を避けることが最も重要で,拡張圧よりも患者の腹痛程度を重視する.通常1回の治療では,3回位までの拡張にとどめ,週1~2回の治療を繰り返し行う。偶発症としては,穿孔や出血に注意する必要がある.なお治療後も再狭窄をきたす可能性があるため,定期的な経過観察が必要である.