日本消化器内視鏡学会雑誌
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腸間膜リンパ節結核が胃に穿破したと考えられた1例
小沢 俊文渡辺 秀紀奥村 浩二土屋 豊一丹治 伸夫安斎 幸夫海上 雅光
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2007 年 49 巻 10 号 p. 2690-2697

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抄録

 症例は73歳,男性で同胞に結核疾患を認める.X線で腹腔内に多数の石灰化巣を認めた.上部消化管内視鏡検査で前庭部大弯に粘膜下腫瘤を認め,4年後には小さな不整形潰瘍に変化した.酸分泌抑制剤投与にも関わらず2年後も不変であった.また送気量の違いで形態が変化し,送気多量にて引きつれを伴う深い陥凹を呈した.複数回の結核菌検査は陰性であったが,組織学的にラングハンス型巨細胞を伴う凝固壊死や類上皮細胞肉芽腫を認めた.EUSでは胃壁外に音響陰影を伴う強エコー輝度の構造物と壁破壊像を,X線造影とCTでは同部位に一致して石灰化腫瘤を認めた.石灰化したリンパ節結核が胃に穿破し潰瘍を形成したと判断し3者併用療法を2年間施行した.経過中に潰瘍底からリンパ節と考えられる「白色で硬い石灰化巣が露出する」特異な内視鏡像を呈したが最終的には瘢痕化した.通常の酸分泌抑制治療に抵抗し特異な形態を呈する潰瘍性病変では胃結核も考慮すべきである.

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