日本消化器内視鏡学会雑誌
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門脈圧亢進症性胃腸症
小原 勝敏
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2007 年 49 巻 3 号 p. 305-313

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抄録

 門脈圧亢進症患者の消化管粘膜には,消化管静脈瘤以外に特徴的な病変として門脈圧亢進症性胃腸症portal hypertensive gastroenteropathy(PHGE)が出現する.PHGEからの出血.頻度は低いが,食道胃静脈瘤同様に致命的な出血をみることがあり,門脈圧亢進症患者にとって重要な病態の一つである.本病変は非炎症性疾患であり,内視鏡では発赤,浮腫を特徴とし,組織所見では粘膜ないし粘膜下層の血管拡張,浮腫を主体とする.成因には門脈圧の上昇が最も重要で,その他に肝障害の重症度,門脈血行動態の変化が関与している.PHGEは出現部位で名称が異なり,胃ならportal hypertensive gastropathy(PHG),十二指腸ならportal hypertensive duodenopathy(PHD),小腸ならportalhyper-ensive enteropathy(PHE),大腸ならportal hypertensive colopathy(PHC)と提唱されている.本稿では,それぞれの臨床的特徴,内視鏡分類と組織学的所見,成因と発生機序,治療について国内外の文献をもとに概説した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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