2007 年 49 巻 6 号 p. 1413-1418
短期間に増大変化した胃内分泌細胞癌の2例を経験したので,自験例を含めた本邦での胃内分泌細胞癌100例の集計と併せて報告する.症例1は76歳,男性.食道胃接合部に2カ月で5mmから20mmへと増大した隆起性病変を認めた.症例2は75歳,男性.胃前庭部の小びらんが9カ月後に18×17mm大のIIa+IIc病変へと変化した.2症例とも最終病理診断は内分泌細胞癌であった.胃内分泌細胞癌は予後が極めて不良な腫瘍とされているが,その術前診断は極めて難しい.本疾患は自験例も含めて,急速に増大することが多く,本疾患が疑われる場合,生検組織標本の免疫組織化学的染色を行い本疾患の診断を確定することが重要であると考えられた.