日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡を用いた肝癌の治療
泉 並木
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2007 年 49 巻 8 号 p. 1858-1865

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抄録

 肝細胞癌(hepatocellular carcinoma; HCC)のうち腫瘍径3cmかつ3カ所以下の例に対してラジオ波焼灼(radiofrequency ablation; RFA)が内科的第一選択治療となってきている.多くの症例は経皮的に施行されるが,肝表面近傍や腸管・胆嚢に接する部位では経皮的治療が困難である.腹腔鏡を用いた治療では,経皮的治療が困難なHCCに対して,安全で確実な治療が行える.腹腔鏡用超音波を用いることが原則として必要であり,超音波の描出面と穿刺方向が一致したRFA用プローべが作成され実用化されている.腹腔鏡を行う際に安全に挿入できるメッシュを用いたトラカールを使用して,超音波腹腔鏡を併用すればHCCに対して安全かつ確実な治療が行える.RFAの通電状況や止血を肉眼で確認できるという内視鏡治療の利点が大きく,リスクが高い部位に存在するHCCに対してきわめて有用な治療法と考えられる.HCCの局在に応じた治療法を選択すべきである.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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