(目的)拡大内視鏡でV1pitを示す大腸腫瘍は,種々の病理組織像を示し,その治療方針決定において困難な場合がある.今回われわれは,V1pitにみられる不整所見を分類し,スコア化を用い病理組織所見との対応を解析した.(方法)当院で2002年1月より2005年9月に拡大内視鏡観察を施行し,病理組織学的検討が可能であった大腸腫瘍130病変(腺腫73病変,m-sm<1000μm癌35病変,sm≥1000μm癌22病変)を対象とした.pitの腺口不整,大小不同,配列の乱れ,不明瞭な始点終点,複数の分岐を不整所見と定義し,有意差を認めた所見を用いてpitスコアを算出し,病理組織所見との対応を検討した.(結果)腺口不整,大小不同,配列の乱れ,不明瞭な始点終点が,癌症例で有意に多く認められた.pitスコアは,腺腫,m-sm<1000μm癌,sm≥1000μm癌の順に有意に高くなった.(結語)pitスコアは,病理組織と相関し,大腸腫瘍の治療方針決定に有用であった.
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