2018 年 15 巻 1 号 p. 36-40
本学会教育委員会では,多職種による周術期管理の質向上をめざして活動を行っている。その一環として日本環境感染学会学術集会でジョイントシンポジウムを開催してきた。外科感染症学の啓発を行うと同時に,アナライザーを使用することで我が国の現状を明らかにすることができた。2017年2月の学術集会では,参加者200名にアナライザーを配布し調査を行った。胃切除術前の食事は前日の夕食までが88%で,術当日朝まで経口摂取を行っているという回答は0%であった。周術期の腸管運動早期回復をめざした取り組みが紹介されて久しいが,導入が進んでいないことが明らかになった。また大腸術前の腸管前処置は,72%が機械的腸管前処置のみを行っており,術前経口抗菌薬投与は10%にとどまった。我が国では依然術前経口抗菌薬投与に否定的な風潮があることが伺えた。