2018 年 15 巻 3 号 p. 253-256
基質拡張型βラクタマーゼ(extended spectrum-β-lactamase:以下ESBL)産生大腸菌による敗血症性ショックが,治療を中止後に軽快した 1例を経験した。症例は 88歳男性。軽症胆囊炎に対して種々の抗菌薬投与を行うも治療に難渋し,血液培養から ESBL産生大腸菌が検出されたためカルバペネム系抗菌薬へ変更したが敗血症性ショックへ陥った。その状態が数日間続いたが,急にショックから離脱し軽快した。死亡率の高い超高齢者の敗血症性ショックが急な転帰で回復した非常にまれな 1例と考えられる。ESBL産生大腸菌の高リスクファクターであった本症例に対しては,カルバペネム系抗菌薬の投与を第一選択として使用すべきであったと考えた。