日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
原著
潰瘍性大腸炎分割手術例における人工肛門閉鎖時ステロイドカバーの必要性
蝶野 晃弘内野 基皆川 知洋桑原 隆一堀尾 勇規佐々木 寛文坂東 俊宏竹末 芳生池内 浩基
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 15 巻 6 号 p. 632-638

詳細
抄録

周術期ステロイド使用は手術部位感染のリスクになることが報告されているが,ステロイド使用例の周術期にはステロイドカバーを行うことが一般的である。しかし,その必要性や方法には明確なエビデンスが乏しい。潰瘍性大腸炎手術での人工肛門閉鎖時におけるステロイドカバーの必要性について検討した。対象は 2015年7月から2018年6月までに,当科で潰瘍性大腸炎に対し 2期分割手術を行い,人工肛門閉鎖時にステロイド離脱状態になっている43例とした。ステロイド総投与量8,000mg(1,000~35,000mg)ステロイド離脱期間:43日(2~166日)であった。41例(95.3%)が早朝コルチゾール基礎値<18μg/dLで,そのうち7例,(17.1%)が迅速 ACTH負荷試験コルチゾール頂値<18μg/dLであったが,続発性副腎皮質機能低下例はなかった。全例ステロイドカバーを行わなかったが,副腎不全症例はなかった。潰瘍性大腸炎手術において,人工肛門閉鎖時にステロイド離脱していればステロイドカバーを行わなくてよい可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2018, 一般社団法人 日本外科感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top