2019 年 16 巻 1 号 p. 1-8
当院では医師・看護師と共同で,開腹大腸手術における手術部位感染(surgical siteinfection:以下,SSI)対策を導入した。今回,その対策が表層切開創SSI(superficial incisional surgical site infection:以下,s―SSI)発症に及ぼす効果を検証した。SSI対策の違う時期により 3群に分け,A群(n=265)は対策導入前,B群(n=521)では全症例に創部洗浄を行い,さらに創分類3・4に対しては器械・ドレープ交換を実施,C群(n=247)では全症例に創部洗浄と器械・ドレープ交換を実施した。3群間の s ─SSI発生率とリスク因子を解析したところ,s―SSIは,A群14.0%,B群7.7%,C群1.2%で,有意な減少を認めた( P<0.0001)。s―SSIのリスク因子は,SSI対策の違いがあがり,多変量解析においてオッズ比(95%CI, Pvalue)は,AB間で0.485(0.296 ─0.795, P=0.0042),BC間で0.156(0.037 ─0.441, P<0.0001)と有意な独立したリスク因子となった。今回,SSI対策の導入が s―SSI減少につながったと考えられた。