2019 年 16 巻 1 号 p. 10-17
【背景】手術部位感染(surgical siteinfection:以下,SSI)発生率の低減化は,致死的合併症を防ぎ,術後在院日数の短縮,医療費の縮小にもつながると考えられる。今回,予定胃手術と SSI発生との関連性について検討した。【対象と方法】2013年 1月から 2015年 12月まで予定手術として施行した胃手術 273症例を対象とし,SSI発生について検討した。【結果】SSI発生率は13.5%(表層 /深部切開創5.1%,臓器 /体腔8.4%)。術式別の検討では胃全摘で SSI発生率は高かった。SSIあり /なしで手術時間は 308.0±98.7分 /250.5±68.2分(P<0.001),出血量は 593.5±698.0ml/264.0 ±438.7ml(P<0.001)で有意差を認めた。腹腔鏡手術では開腹手術と比較して SSIは6.1%と有意に低かった(P=0.006)。多変量解析では,長時間手術と開腹手術,胃全摘術が独立した危険因子であった。【結論】SSIの低減には腹腔鏡手術の時間短縮と胃全摘術への対応が必要である。