日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
症例報告
創傷治癒遅延が予想された術後開放創にオルニチン含有食品と持続陰圧閉鎖療法を併用した1例
西脇 亮佐竹 美和子濱口 哲也井上 靖浩竹内 謙二伊藤 佳之加藤 俊夫
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2020 年 17 巻 1 号 p. 42-45

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抄録

症例は慢性腎不全に対する維持透析中の70歳台男性。腹痛を主訴に救急受診され,汎発性腹膜炎のため緊急開腹手術を施行した。術中所見から宿便による小腸穿孔の診断で小腸部分切除を施行,術後5日目に深部切開創surgical site infection(SSI)をきたし,以後創部出血をきたすなど,腹膜まで至る創部離開が遷延した。肺気腫,胃癌による幽門側胃切除術の既往もあり,基礎疾患・低栄養状態から創傷治癒遅延が予想された。創傷治癒対策として,術後9日目より窒素負荷の少ないオルニチン含有食品の投与を開始した。さらに術後23日目より,圧を適宜調整した局所陰圧閉鎖療法negative pressure wound therapy(NPWT)を行った所,安全かつ早期に創傷治癒が図れたため,文献的考察を含め報告する。

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© 2020, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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