2020 年 17 巻 3 号 p. 104-111
【緒言】紫外線は環境消毒に用いられている。病室内の高度接触面に存在する可能性がある微生物に対する紫外線照射の殺菌効果について評価した。【対象と方法】モデル病室内でClostridioides difficile(以下,C. difficile),カルバペネム耐性腸内細菌科細菌,多剤耐性アシネトバクター(MDRA)を塗布した培地を代替キャリアとした。代替キャリアを複数箇所設置し,UV–C紫外線照射システムを照射し照射前後の菌量減少数(log)の中央値を産出した。【結果】C. difficileでは菌量減少にばらつきがみられた。ベッド高さ40cmにおいて,10分1サイクルと比べ10分2サイクルの方が有意に減少した(P=0.03)。ベッド高さ60cmでは5分2サイクルに比べ10分2サイクルの方が有意に菌量が減少した(P=0.03)。CREでは3log以上,MDRAは4log以上菌量が減少した。【結論】多剤耐性菌保有者が在室した部屋の環境清掃にUV–C紫外線照射システムは有用である可能性が示唆された。