日本外科感染症学会雑誌
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症例報告
Mycobacterium fortuitumによる中心静脈カテーテル関連血流感染の1例
岡田 はるか畑 啓昭後藤 健太郎松末 亮山口 高史猪飼 伊和夫大毛 宏喜
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2020 年 17 巻 6 号 p. 531-535

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抄録

Mycobacterium fortuitumM. fortuitum)はRunyon分類Ⅳ群(迅速発育抗酸菌 [Rapidly growing mycobacteria:以下,RGM)に属する非結核性抗酸菌(Nontuberculous mycobacteria:NTM)であり,肺や皮膚・軟部組織感染症の原因となるが,カテーテル関連血流感染(catheter─related blood stream infection:以下,CRBSI)の起炎菌としても知られている。RGMは固形培地上で肉眼的に観察可能なコロニーが7日以内に形成される菌と定義され,血液培養ボトルなどの一般細菌検査でも発育可能であるが培養期間が短い場合はRGM血流感染を見落とす可能性があり,本菌の存在が疑われる場合には培養期間を延長するなど注意が必要である。また,その治療法や治療期間についていまだ定まった見解はない。自験例は中心静脈カテーテル留置症例の発熱に対して血液培養を採取したところ6日目に培養陽性となり,M. fortuitumによるCRBSIを診断することができた。カテーテル早期抜去およびマクロライド系とニューキノロンを併用した抗菌薬内服で治療を行い,内服終了後約8ヵ月再燃を認めなかった。M. fortuitumによるCRBSI では4週間の多剤併用抗菌薬治療とカテーテル早期抜去で良好な結果が得られることが示唆された。

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© 2020, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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