2022 年 19 巻 6 号 p. 400-407
術後感染症は周術期合併症の中で大きな比重を占めており,その感染制御は医療従事者の大きな課題である。本邦では従来,術後感染症として手術部位感染(surgical site infection:以下,SSI)のみが調査されることが多かった。消化器外科手術後はSSIに限らず,さまざまな遠隔感染症(remote infection:以下,RI)が発生する。今回われわれは,日本外科感染症学会で行われた術後感染性合併症サーベイランス2015年度特別集計(Japan post-operative infectious complication surveillance in 2015:以下,JPICS ’15)で集積された臨床データを用いて,SSI,RIとともに,耐性菌の保菌症例も含めた術後感染症の検討を行ったので,総論として述べさせていただく。