JPICS ’15は日本外科感染症学会(Japan Society for Surgical Infection:以下,JSSI)の医療の質・安全委員会の主導により,2015年9月から2016年2月の間に実施された,内視鏡外科手術を含んだすべての開腹・開胸操作を伴う消化器外科手術症例を対象とし,JSSI術後感染性合併症サーベイランスでのweb入力によって症例集積が行われた。参加28施設で抗菌薬関連性腸炎(MRSA腸炎およびClostridioides difficile 腸炎)の検討には全7,574例が有効登録され,内視鏡下外科手術は6.8%,開腹手術は18.7%だった。これらのうち感染総症例数は905例(12.0%)であった。抗菌薬関連性腸炎は51例(0.7%)に発症し,MRSA腸炎は2例(0.03%)に,Clostridioides difficile 腸炎は36例(0.5%)に発症していた。術後感染性合併症のサーベイランスで世界的にも貴重な院内感染の情報を提供できた。
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