日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
原著
Clostridioides difficileにおけるNucleic acid amplification testおよび Toxigenic cultureの必要性の検討
原 稔典大森 慶太郎北川 浩樹木場 由美子樫山 誠也繁本 憲文大毛 宏喜
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 20 巻 1 号 p. 22-28

詳細
抄録

Clostridioides difficile infection(CDI)の検査として,Nucleic acid amplification test(NAAT)を導入する施設が増えている。しかし,NAAT導入に併せて培養検査やTC検査も行うべきかは確立しておらず,その必要性について検討を行った。対象は,Clostridioides difficileC. difficile)抗原(glutamate dehydrogenase:以下,GDH)および毒素検出を目的に提出された糞便検体336例とした。GDH陽性/毒素陽性が10例,GDH陽性/毒素陰性が32例,GDH陰性/毒素陰性が294例であった。GDH陽性/毒素陰性32例中,NAAT陽性は19例(59.4%)であり,全例Toxigenic culture(TC)検査陽性であった。NAAT陰性13例では,7例のみ培養陽性となりTC検査陰性であった。GDH陽性/毒素陰性,NAAT陰性で発育してきたC. difficile 7株は,毒素非産生株であったことから,GDH陽性/毒素陰性,NAAT陰性の際は,TC検査を行う意義は乏しいと考えられた。GDH陰性/毒素陰性294例のうち,NAAT陽性1.7%(5/294),TC検査陽性4.1%(12/294)であった。そのため,GDH陰性/毒素陰性の場合,NAATやTC検査が陽性となる確率は低いものの,CDIが強く疑われる場合には実施を考慮すべきと考えられた。

著者関連情報
© 2023, 一般社団法人 日本外科感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top