2024 年 21 巻 2-3 号 p. 331-337
進行直腸癌に対する術前化学療法後の腹腔鏡手術での術後縫合不全が予後に与える影響を検討した。対象は2012年から2019年までに日本医科大学付属病院で術前化学療法後に腹腔鏡下直腸低位前方切除術(括約筋間直腸切除を含む)を施行した50例で,術前化学療法のレジメンはmFOLFOX6療法を6コース,もしくはCAPOX療法を4コースとし,側方リンパ節郭清は治療前に転移を疑わせる腫大を認めた症例のみ行った。縫合不全を8例(16%)に認め,縫合不全をきたした症例の3年無再発生存率は縫合不全をきたさなかった症例より有意に不良であった(12.5% vs 76.9%,P<0.01)。多変量解析では,縫合不全あり(ハザード比:7.49,95%信頼区間:2.43-23.09,P<0.01),初診時側方リンパ節転移陽性(ハザード比:3.05,95%信頼区間:1.02-9.14,P=0.05)で有意に無再発生存率が低かった。また,術前化学療法の効果が不良の患者で縫合不全が多い傾向にあった(P=0.10)。術前化学療法症例の予後改善には縫合不全を減らす取り組みが重要である。