2024 年 21 巻 4-5 号 p. 359-364
症例は血液透析歴3年の66歳男性,高度炎症反応を伴う発熱・倦怠感を訴え当院に紹介された。単純CT検査で炎症性腹部大動脈瘤が疑われ同日入院,翌日の造影CT検査では穿孔性虫垂炎が判明した。抗菌剤はMeropenemとVancomycinから開始し,血液培養でMethicillin-Susceptible Staphylococcus aureusが検出されたため,複雑性腹膜内感染症も念頭に置きMetronidazoleとCefazolinを追加移行した。炎症反応は経時的に改善傾向を認めたが入院25日目に動脈瘤破裂が判明し,緊急ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行,以降は抗菌薬療法継続のみで全身炎症が鎮静化したため,術後76日で軽快退院となった。本症例では術中感染制御が未施行も徹底的な抗菌薬療法の併用で急性期の致死的イベントが回避されており,EVARが感染性大動脈瘤に対する低侵襲治療の一選択肢となる可能性が期待された。