現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
論文
劣後債による市場規律と公的介入
豊福 建太
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2005 年 17 巻 p. 27-46

詳細
抄録

銀行規制に関する新しい流れとして,劣後債による市場規律を活用するという動きがある.これは,規制当局だけでなく投資家にも銀行の情報を収集させることで,より効率的に銀行を規律付けることを狙ったものである.そこで重要になってくるのが,銀行規制の中で規制当局と投資家がどのような役割を果たすべきかという点である.本論文では,このテーマについて,金融契約理論や情報の経済学を用いて分析する.そして,契約が不完備なために銀行のリスクテイクの可能性がある状況では,銀行の情報が劣後債の金利に正確に反映するときよりも正確に反映しない時の方が,市場での価格決定の歪みを利用することでかえって効率的に銀行を規律付けられることを示す.さらに,規制当局がモニタリングして情報間示を行うことが,場合によっては効率的でなくなることを導く.

著者関連情報
© 2005 日本ファイナンス学会/MPTフォーラム
前の記事 次の記事
feedback
Top