現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
論文
市場効率性の再検証:株式市場の特性変化と予測可能性
竹原 均
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 31 巻 p. 3-17

詳細
抄録

本研究では,最初に東京証券取引所上場企業の流動性が2000年代前半以降大きく上昇し,それに伴い取引コストが低下したことを,個別株式ティックデータを用いて確認する.次に株式所有構造と取引高との関係を分析することにより,流動性上昇・取引コスト低下が,東証における海外法人の活発な取引によりもたらされた可能性が高いことを示す.それでは取引活動の活発化とそれに伴う取引コストの低下は,市場効率性にどのような影響を与えるのだろうか?この問題に答えるために,市場効率性の定義と取引コストの関係について整理し,取引コストの低下は市場効率性を高めるとの推論を導く.その上で月次データを使用した分析により,取引コストは株式リターンの予測可能性に影響を与え,活発な取引状況下では,既存アノマリーの一部についてリスク調整後リターンの規模が縮小する可能性を持つことを示す.

著者関連情報
© 2012 日本ファイナンス学会/MPTフォーラム
次の記事
feedback
Top