通商産業省企業活動基本調査1996年調査のデータにより,日本の製造業企業について,企業規模,固定資産,広告宣伝費と研究開発費およびキャッシュフローが,負債比率にどのような影響を与えているかについて分析した.固定資産・総資産比率が高いほど,広告宣伝費と研究開発費の合計額の売上高に対する比率が低いほど,またキャッシュフロー・総資産比率が低いほど負債比率は高かった.これらは先行研究と同様の結果である.企業規模について,上場会社に対応する大規模クラスでは,売上高の対数値が大きいほど負債比率が高く規模効果は正であるが,それ以外での規模効果は正であるとは限らないという結果を得た.これは,上場会社と非上場会社とでは,負債比率の規模効果が異なる可能性を示唆している.