論文ID: 400001
本論文では,企業間の取引ネットワークに基づくクロスモメンタムの株価予測可能性について研究する.具体的には,日本企業における有価証券報告書からサプライヤー・カスタマーのつながり情報を独自に収集し,互いの企業ニュースが株価へ適切に反映されているかを調査する.結果は,カスタマー企業のニュースがサプライヤー企業の株価へ適切に反映されていない,すなわちカスタマー企業のニュースとサプライヤー企業の将来リターンには統計的に正の関係を有することを確認する.また,このクロスモメンタムは将来のセルサイドアナリスト業績予想を予測する結果を示す.これらは,投資家の注意力・情報処理能力の限界が株価予測可能性をもたらすという仮説と整合的である.