日本プライマリ・ケア連合学会誌
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ジェネラリストに学ぶ診断推論
なぜジェネラリストに診断推論の考え方が必要なのか
野口 善令
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2010 年 33 巻 2 号 p. 211-214

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抄録

 ジェネラリストには, 体系的に考えて診断を絞っていく診断推論が必要となる.
 診断推論には大別して直感的診断と分析的アプローチの2種類がある.
 パターン認識は, 患者から疾患の特徴的なパターンをつかみとって意識下で瞬間的に「ひらめき」に似た形で認識するような直感的な診断法である. 経験を積んだ臨床医にとっては正確, 迅速かつ楽に診断をつけることができるが, 経験したことのない疾患は原則的にパターン認識できないなどの弱点もある.
 分析的アプローチは, 仮説形成と仮説検証をくりかえして診断を考えていくので仮説演繹法と呼ばれる. 仮説形成は患者の話を聞いて, 鑑別診断のリストを作る作業で, 仮説検証はリストにあがった鑑別疾患の可能性 (確率) を吟味していく作業である.
 パターン認識と分析的診断推論は相補的なものである. パターン認識が上達すれば洗練された鑑別診断のリストを想起でき, かつ, 事前確率が高い診断仮説を形成できるようになるので, 分析的診断力も向上する.

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© 2010 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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