2011 年 34 巻 2 号 p. 133-140
【目的】米国プライマリ・ケア領域で, 医療の質を高めるためのツールとしてITを用いた診療支援システムが注目されている. その具体的なシステムの機能や有効性を検討するとともに, 日本における診療支援システムの可能性について言及する.
【方法】ミシガン大学家庭医療学教室で利用されている診療支援システムを参考に, 「外来診療でのシステム利用の一連の流れ」, 「助言に対する医療者側の対応」, 「助言とリマインダーの内容と仕組み」を解説し, 「パフォーマンス・レポート」を用いて診療の質を検討した.
【結果】外来診療においてシステム利用の中心となるエンカウンター・フォームは, それぞれの患者に対して受診時に検討すべき予防医療や慢性疾患管理における助言が, 1枚の紙で把握できるようになっている. また, パフォーマンス・レポートは, 患者全体の診療の質を検討するための指標が容易に抽出できるようになっている.
【結論】日本においてITを用いた診療支援システムを構築するにあたっては, 米国でこれまで培われてきた知見を参考にできるのではないかと考えられた.