抄録
要 旨
本稿は, 「語り」による新人看護師研修にファシリテーターの一人として参加している私の体験を通して, 新人看護師教育におけるナラティブとリフレクションの意味を考えてみようとするものである. はじめに, 新人看護師と熟練看護師の差の1つに状況対応能力があり, その能力の獲得のために, リフレクションがかかせないこと, リフレクションするには, 状況に没入する自分ともう一人の自分が必要であり, 研修はその両者を育てる機会になっていることを述べた. 次に, ここでの他者の存在は, リフレクションの特徴である新人看護師自身の気づきを導き, 生み出すためになくてはならないことを述べた. 最後に, リフレクションの過程におけるナラティブ (語り) の意味について, 声に出して「語る」ことの意味を体験の身体化の側面から, 「聴く」ことの意味を, 「行為の中の省察」へつながる行為として, また, 看護の伝承という側面から考察した.