要 旨
目的 : 地域住民を対象とした調剤報酬講義により保険薬局における医療費の内容について理解を促し, それが受講者の保険薬局の選択に影響を及ぼすか否かについて検討した.
方法 : 受講者34名に対し, 講義前後アンケートを実施した. 解析対象はアンケートに記入不備のなかった29名とした.
結果 : 保険点数付き領収証を見たことがないと回答した受講者は34.5%であり, 保険点数を理解した上で支払っていたとの回答は25.0%であった. 講義後, 保険薬局の業務内容において服薬指導は55.2%の上昇, 調剤, 薬歴管理及び疑義照会はそれぞれ27.6%, 27.6%及び20.7%の上昇を示した. 講義後, 薬局選択の理由は病院近くの薬局で37.9%の減少, 薬の説明指導がしっかりしている薬局や相談対応の良い薬局ではそれぞれ72.5%, 20.7%の上昇となった.
結論 : 調剤報酬を学ぶことによって地域住民が保険薬剤師の職能を理解することは保険薬局の選択に好影響を与える可能性が示唆された.