2013 年 36 巻 3 号 p. 166-174
目的 : 「コミュニケーションツールの使用が不可能となった神経難病患者との訪問診療中の望ましいコミュニケーション法とは何か」 (以下「コミュニケーション法」と略す) を探索する.
方法 : 訪問診療を行い, 死亡した神経難病患者の遺族のうち, コミュニケーションツールの使用が不可能であった患者の配偶者を対象に, 「コミュニケーション法」を主題とした面接調査を行った. 音声録音と口述記録により逐語録を作成し, 質的分析を行った.
結果 : 「コミュニケーション法」として, 「患者が医師に伝えたい内容を診療に同席した家族が“咀嚼”し“察する”」「家族と医師が会話しつつも, 患者不在でないコミュニケーションで患者を安心させ心配させない」「例外的な家族と医師のみのコミュニケーションについてのタイミングを図る」の三つを描出した.
結論 : 「コミュニケーション法」は, 「家族が同席した患者とのコミュニケーションが基本である」という仮説が生成された.