抄録
目的 : 長崎大学病院では, 県内の5つの地域病院 (離島やへき地を含む) でのプライマリ・ケア患者を対象とする外来研修を開始した. 本研究では, 医師臨床研修到達目標達成における外来研修プログラムの効果について検討した.
方法 : 2012年度長崎大学病院に在籍する全初期研修医49名を対象とした. 外来研修終了後, 研修医に対するアンケートにて, 診察人数, 経験症状の調査と研修の評価を行い, 同時に指導医からの研修評価を行った.
結果 : 平均診察患者数は, 3.29人/回で, 年間を通じての総診察患者人数と経験すべき頻度の高い症状の経験項目数は, 有意な正の相関を示していた. 治療, 診断に関する自己評価が, 他の項目に比べて全体的に低かったが, 回数を重ねるごとに上昇傾向を示し, 問診, 診断, 治療に関する研修医の自己評価と指導医からの評価の差は, 回数を重ねるごとに縮まっていく傾向にあった.
結論 : プライマリ・ケア患者を対象とする外来研修プログラムは, 医師臨床研修目標を達成するための一つの手段となる可能性が示された.