日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
蘇生処置を行わない (DNAR) 意思表示のある終末期がん患者の臨死時に救急車要請となる理由
─救急救命士へのインタビューから把握したこと─
鈴木 幸恵
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2015 年 38 巻 2 号 p. 121-126

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抄録

目的 : DNAR意思表示のある終末期がん患者の臨死時に救急車要請となった理由を救急救命士へのインタビューにより把握した内容から明らかにする.
方法 : 某都道府県の救急救命士19名への半構成的面接. 音声録音により逐語録を作成し, 質的分析を行った.
結果 : DNAR意思表示のある終末期がん患者が臨死時に救急車要請となった理由として, 《DNARに関する社会的整備が未確立》, 《救急車の役割に対する認識不足》, 《看取りのための医療支援が不十分》, 《介護施設での看取り体制が不十分》, 《救急隊に頼れば何とかなるという認識》, 《在宅死を避けたい家族の思い》, 《家族の動揺》の7つが明らかとなった.
結語 : DNARに関する社会的整備未確立の背景があり, DNARの意思を尊重した看取りへの医療支援が不十分であることや家族側の要因によってDNAR意思表示のある終末期がん患者が臨死時に救急車要請となることが示唆された.

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© 2015 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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