日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
悪性腫瘍に合併した血栓症に対して在宅自己注射による抗凝固療法を施行した4例
三河 貴裕小山 隆文大山 優
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2015 年 38 巻 4 号 p. 340-344

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抄録

目的 : 悪性腫瘍合併血栓症に対して抗凝固薬外来自己注射を施行可能であった4例を経験した.
症例1 : 58歳男性, 膵癌, ワルファリン抵抗性深部静脈血栓症 (DVT)/肺塞栓症 (PE) . 自宅でフォンダパリヌクス5mg1日1回皮下注を使用し, 3ヶ月後のCTで血栓縮小を確認した. 自宅での自己注射期間は23ヶ月であった. 症例2 ; 55歳男性, 肺癌, ワルファリン抵抗性DVT. 自宅にて皮下注ヘパリン20000単位1日2回 (40000単位/day) を使用し, その後副作用があったためフォンダパリヌクス2.5mg皮下注へ変更した. 3ヶ月後のCTで血栓消失を確認した. 自宅での注射期間は3週間であった. 症例3&4 ; 59歳女性, 膵癌およびPE, 68歳女性, 腹膜癌およびDVT/PE. 頻回の腹水穿刺が必要と見込まれ, それぞれ自宅でフォンダパリヌクス2.5mg皮下注を17週間, 皮下注ヘパリン10000単位1日2回 (20000単位/day) を6週間行った. 本邦でも悪性腫瘍合併血栓症の長期治療に抗凝固薬外来自己注射を安全に使用出来る可能性が示唆された. 皮下注ヘパリンは量・穿刺回数・APTT・合併症に注意が必要であり, 低分子ヘパリンや フォンダパリヌクス自己注射の保険適応が望まれる.

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© 2015 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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