抄録
目的 : 肺炎球菌の薬剤耐性化の動向について検討する. 小児分離株と成人分離株の薬剤感受性の傾向に違いがあるか検討する.
方法 : 2005年~2011年の7年間に, 呼吸器臨床検体から分離された肺炎球菌1062株について, penicillin G (PCG) とcefotaxime (CTX) , meropenem (MEPM) に対する薬剤感受性の経年的変化を後方視的に検討した.
結果 : 小児分離株では, ペニシリン感受性肺炎球菌 (PSSP) の割合に有意な変化はなかった. MEPMに対する感受性菌の割合は有意に増加傾向にあり, CTXに対する感受性菌の割合は有意に減少傾向にあった. 小児分離株は, 成人分離株に比べて有意にPSSPの割合が低かった.
結語 : 小児分離株は, セフェム系抗菌薬に対する耐性化がすすんでいる可能性が示唆された. 同一地域でも, 小児分離株は成人分離株に比較して耐性菌の割合が高いことが示唆された.