日本プライマリ・ケア連合学会誌
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ISSN-L : 2185-2928
原著(症例報告)
がん疼痛治療中の高度便秘にエリスロマイシンが著効を示した1症例
渡邊 法男山田 卓也吉田 知佳子細川 佐智子中川 千草安村 幹央山村 恵子
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2016 年 39 巻 1 号 p. 40-42

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抄録
症例は40代男性, 原発不明がん, 肺転移, 脊椎転移 (T5-6) . モルヒネ硫酸塩徐放錠, ナブメトン錠, アミトリプチリン塩酸塩錠で疼痛治療中に, 腫瘍の進展に伴う脊髄圧迫部位以下の麻痺が完成し, 同時期から, 高度の腹部膨満感, 便秘を認めた. 各種腸管蠕動亢進薬を使用したが症状は改善しなかった. そこで, モチリン受容体アゴニストとして, 自律神経系の麻痺による消化管運動障害改善効果が報告されているエリスロマイシン点滴静注 (1回500mg, 3回/日) を開始したところ, 症状が著明に改善した. その後, エリスロマイシン錠 (1回200mg, 3回/日) へ変更し, 良好な排便コントロールを得ることができた. エリスロマイシンは, 各種腸管蠕動亢進薬が無効な腫瘍の脊髄圧迫など麻痺性の消化管運動障害による便秘に対し有用な治療薬の一つであると考える.
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© 2016 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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