抄録
神経線維腫症1型 (Neurofibromatosis types 1, 以下NF-1) は国内患者数が約4万人で, プライマリ・ケア医が遭遇する疾患である. 腫瘍性病変が有名で予後規定因子として知られるが, 他に動脈瘤を合併しうる. これは従来高血圧の結果とされ, また予後規定因子として注目されていない. 今回, 高血圧のないNF-1患者が腰動脈瘤破裂で急激にショックとなった1例を経験した. NF-1の55歳女性が, 突然の左鼡径部痛で救急搬送された. 造影CT, 動脈造影にて腰動脈瘤破裂と診断された. 来院後にショックとなり, コイル塞栓術が行われ, 救命された. 動脈瘤がNF-1の予後規定因子となる可能性, その成因は高血圧以外に, 近年いわれるNF-1自体の血管脆弱性による可能性が臨床的にも支持された.