抄録
目的 : 高次医療機関へのアクセスが制限された地域においてプライマリ・ケア国際分類第2版 (ICPC-2) を用いて受診理由, 新規健康問題, 慢性健康問題の内訳を明らかにすることでフリーアクセスの制度下では明らかにしづらい「受診理由, 健康問題の実像」を推測する.
方法 : 沖縄県の離島において後ろ向きオープンコホート研究を行った. 全ての患者の受診理由及び健康問題についてICPC-2を用い集計した.
結果 : 1年間で5682件の受診があり, うち0~14歳が862件, 15~64歳が2205件, 65歳以上が2615件であった. 臓器別の集計ではR呼吸器, S皮膚, L筋骨格の順に多かった. 高齢者の慢性健康問題でP70認知症が8位, 小児の新規健康問題はA98健康診断/予防医学が3位であった.
結論 : 本研究では従来の報告と比較し主要な受診理由・健康問題に大きな違いは見られなかったが, 高齢者の慢性健康問題では認知症, 小児の新規健康問題は健康診断/予防医学の頻度が高いことが示唆された.