日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(症例報告)
多系統萎縮症の緩和ケアにボツリヌス療法が有用であった1例
菊地 大輝伊藤 浩信小川 義裕葛西 里美菊池 健澤内 清山田 奈穂子中村 節子大和 泉
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2016 年 39 巻 3 号 p. 163-165

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抄録
症例は63歳, 女性. 5年前より神経症にて他院で加療中であった. 4年前, 振戦が出現したため, パーキンソン病と診断され, 内服処方されたが, 症状は改善しなかった. 2年前に前医に精査入院し, 多系統萎縮症の診断となった. 3か月前より嚥下が難しくなり, 体動困難にて入院となった. 入院から4週間後にはベッド上臥床の状態となり, 寝返りも不可能となった. 緩和ケア目的に当院へ転院となった際, 上肢, 下肢痙縮に対する痛みの訴えを認めた. 痙縮に対しボツリヌス療法を施行した. その結果, ボツリヌス療法が患者の自覚症状, 心理的苦痛を改善した. 多系統萎縮症を含め, 神経難病は根治的治療法が存在しないため, 緩和ケアが行われることが多い. そのため, プライマリ・ケアとして接する機会も少なくない. 多系統萎縮症の緩和ケアにボツリヌス療法が有用であったので報告する.
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© 2016 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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