日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
在宅終末期がん患者のケアマネジメントに関する介護支援専門員の認識
—介護支援専門員の属性による差に焦点をあてて—
原田 静香美ノ谷 新子柴崎 美紀丸山 美知子山口 豊子宮近 郁子入野 豊森本 喜代美米澤 純子
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2016 年 39 巻 4 号 p. 219-226

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抄録

目的:在宅終末期がん患者のケアマネジメントを担当する介護支援専門員の属性に焦点をあて,ケアマネジメントの経験と担当することへの認識の差を明らかにすることである.
方法:介護支援専門員443名を対象に,無記名自記式質問紙調査法を行った.
結果:終末期がん患者の担当経験があるものは70.3%であり,介護支援専門員の経験年数が5年以上と常勤者に担当経験が多く,有意差が認められた.基礎職種による担当経験の有無には差がみられなかった.
終末期がん患者のケアマネジメントを担当することへの認識では,「担当を避けたい」と思う者は常勤者に比べ非常勤者に多く(P<0.05),「担当は医療職が相応しい」と考える者は医療職者が7割,福祉職者は4割となり(P<0.05),いずれも有意な差が認められた.さらに,「特定の者に偏らず公平に担当すべき」との認識は,介護支援専門員の経験年数が5年未満の者に8割と5年以上の者に比べ多く,有意差が認められた(P<0.05).
終末期がん患者のケアマネジメント教育・研修の必要性については,全体の約95%が賛同していた.
結論:全体の約7割に終末期がん患者の担当経験があり,特に介護支援専門員としての経験年数が5年以上で,常勤者が担当していることが明らかとなった.しかし,ケアマネジメントを担当することへの認識は,介護支援専門員の経験年数や基礎職種により担当者を選択するのではなく,特定の者に偏らずに担当すべきとする積極的な意識があることが明らかとなった.よって,終末期がん患者のケアマネジメントに関する教育・研修の機会や自己研鑽を行える教育環境の整備が重要であると考える.

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© 2016 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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