日本プライマリ・ケア連合学会誌
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活動報告
島根県の離島における地域居住要件を考える
宮本 恭子
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2017 年 40 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

目的:離島で暮らす高齢者が住み慣れた島で暮らし続けることを可能にする地域居住要件について検討する.

方法:総務省の『住民基本台帳人口移動報告』を整理するとともに,島根県隠岐郡知夫村役場村民福祉課職員を対象に,質問紙調査とフィールド調査(面接法)を実施し,質的分析を行った.

結果:隠岐島では,高齢者の島外への転出が続いている.年次によってばらつきはあるが,県外への転出も多い.知夫村には入院施設や入所施設がなく,在宅介護サービスも訪問介護と通所介護のみである中,高齢者の死亡場所は島外の病院が多かった.伝統的に近隣同士の結びつき,支え合いが強く,これが生活継続の重要な社会資源であることが特徴である.

結論:離島地域の高齢者が最期まで住み慣れた島で暮らし続けるためには,重度の要介護者の受け皿の整備と地域の互助活動をベースにした,保健・医療・福祉サービス供給主体と行政及び住民との連携強化が重要であることが示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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